清和海運株式会社(システム連携事例)
トラック簿の導入から約4年、清和海運の新たな取り組み
~システム連携:データを活用した庫内業務効率化~
清和海運の物流センターにトラック簿が導入されたのは約4年前のことだ。
センターの統合による物量増加に伴い3~4時間の長時間待機が発生していた当センターにトラック簿が導入され、
待機時間は平均30分以内に改善された。以下はその際のインタビュー記事である。
https://monoful.co.jp/casestudy/truckbook/seiwa-kaiun
上の記事で印象的なのは最後のコメントに書かれている「データから生産性の分析も出来る為、集計方法を確立し、
業務改善も目指していきます。」という部分だ。
待機時間が短縮された点はあくまで通過点と捉え、溜まったデータを元に更なる改善を目指されている。
多くのユーザーが目指す次の目標ではあるが、実現するのは簡単ではない。
しかし、清和海運は着実にステップを踏み、それを形にしつつある。
あれから約4年が経ち清和海運はどのように変わったのか。
今回、特別に許可をいただきインタビューをさせて頂いた。
今回ご案内頂いたのは、4年前にトラック簿の導入を推進してくださった長島チーム長。
現在も当センターの入荷業務のチーム長を務めながら、トラック簿(トラック予約受付システム)のようなDXツールの普及まで多岐にわたる活動をされている。
今回お伺いした背景として、当センターでデータを活用した新たな取り組みがスタートしたことがきっかけである。
当センターではトラック簿以外にもWMSといった様々なシステムが活用されている。
今回の取り組みは、それらのシステムから集約したデータを現場のモニター画面に表示し、
現場作業者はそれを見ながら作業にあたることができるという取り組みである。
当センターでは一日100台以上のトラックが出入りし、入荷→出荷の流れで業務が行われている。
その中でも特に入荷におけるトラックの出入りが激しい。
そのため、午前中に如何に多くの荷物をさばけるかが重要になるが、これだけ多くのトラックが出入りしていると現場作業員は、現状どこまで仕事が進んでいるのか、遅れているのかといった進捗状況が仕事に集中しているあまり把握ができなくなってくる。
そこで「各システムで収集したデータを活用し、作業進捗を可視化する」という今回の取り組みがスタートしたという。
モニター画面に表示される情報の元データは主にWMSとトラック簿(トラック予約受付システム)からあがってくる。
※トラック簿と清和海運のシステムがAPIで連携しタイムリーな情報連携が行われている。
(トラック簿の「システム連携API機能」を活用:機能詳細はこちらから)
例えば「入荷」であれば、
入荷予定数(①)、それに対する実績値(②)、残数(①-②)、業務終了までの残り時間 などを表示。
また当センターは1時間あたり2,650ケースさばくというKPIがあり、それに対しての進捗を「早い/通常/遅い」で可視化している。
このようなダッシュボード画面を5パターン作成し、それらが必要な場所に計画的に配置されている。
例えば、以下の写真は入荷仕分け後パレタイズされた荷物を出荷場所に移動するため
現場作業者がハンドリフトを使って出荷場所まで人力で持ってくる作業現場の写真だが、
仮にこの業務を一日に何十回も行っているとすると中々骨の折れそうな仕事である。
パレタイズした荷物を運んで来るとモニターの数字が更新され、残数などの作業進捗が可視化されていく。
「今何本の作業が済んだのか・・・」「あとどれくらいでこの作業が終わるのか・・・」
それらが見えるだけでも作業員の疲労感やモチベーションも変わってくる。
他にも 「なぜここに配置したのか」 その一つ一つにしっかりとした意図があることが伺える。
以前使用していたと思われるホワイトボードが置いてあったが、
視認性や情報共有、タイムリーさといった点においてモニター画面のほうが優れているのは一目瞭然であった。
「こういったDXの活用により当センター全体の作業効率は高めていけるだろう」と今回の取り組みの有効性を感じているようだ。
そして、これらダッシュボード画面が現場作業者にどのように使われるべきか、どのように使ってもらいたいかについて、
「このモニターの取り組みは強制的なものではなく、あくまで現場の人の作業の“気づき”になってほしい」と長島チーム長は答えている。
当然、現場の人にも自分達のやり方へのこだわりやプライドがある。
必ずしも画面に表示される数字に指示されて動くのではなく、モニターに映し出される情報が、より良い業務をする上での補助になればという考えのようだ。
実は、この取り組み自体は今年8月にスタートしたばかりで、今後はデータを活用した更なる取り組みをしていきたいと長島チーム長は語っている。
一方で、まずは元となるデータを取得する部分での難しさ(ドライバーや予約者、庫内作業員にそれらの元データを入力させる)も同時に感じられているそうだ。
無理は強いらない、一方で必要な操作はしっかりとレクチャーすることも惜しまず行っている。
元データの取得のしやすさについては、サービスを利用するユーザーだけの努力ではなく、
我々のようなサービス提供者側も検討していくべき事項でもある。
当センターの加茂部長からは、「今後、今回のようなシステム連携の事例は増えていくだろう」というコメントを頂いた。事実、システム連携の問い合わせは増えており、当社としてもそれを日々実感している。
今回清和海運から一つの新しい事例が生まれたことをきっかけに、ここから様々な活用方法、新たな事例に発展していけることに期待したい。
<インタビュアー>
株式会社モノフル セールスマネージャー 小窪 亘