トナミ運輸株式会社(荷主:株式会社クボタ)

クボタの物流を支える外部倉庫の存在とバース管理システムの有用性

 クボタはご存じの通りトラクター等の農機を扱う大手メーカーであり、とりわけ海外向けの製品出荷が多い。その物流を支えているのが外部倉庫の存在だ。

 クボタの物流は部品調達と完成品出荷の大きく2つに分かれる。
 以前は工場内で行っていた「調達部品の仕分け業務」と「出荷製品の在庫保管」を工場から切り離すことで、工場本来の機能(生産)の向上を図っている。工場周辺に点在する外部倉庫が前述の物流業務を担うことで、クボタの物流を支えている。
 今回トラック簿を導入したのは、その外部倉庫の1つを運営するトナミ運輸のセンターである。

KR流通センター 南センター長様(左)、高松センター長代理様(右)

 KR流通センターはいわゆるマルチ型のテナント倉庫で、上層階部分に入居している。上層階部分での荷役となるため、ドライバーは受付のために毎回上層階まで上がる必要があった。紙の受付簿に記入し、すぐに呼ばれない場合は1階の待機場に戻り待機を行っていた。
 トラック簿を導入しスマートフォンで遠隔受付ができる機能(スマホ受付)を採用したことで、1階の待機場から受付が可能となった。何度も上層階に上がる必要がなくなり、ドライバーの負荷軽減につなげることができた。

 現場の運用にも大きな効果が出ている。これまではドライバーの呼び出しのために、フォークリフトの作業を中断し、紙の受付簿がある場所まで移動し電話呼び出しを行っていた。この作業にかかる時間は1台あたり1分程度

 トラック簿を導入したことで、フォークリフト作業者の手元で受付トラックの確認とシステム呼び出しが行えるようになり、作業が大幅に簡素化された。1日あたり約150台のトラックに対応する当センターでは、この作業だけでも単純計算で約2時間30分の削減効果があった。

 加えて、ショートメールやLINE、アプリで呼び出しを行えるため、タイミングが合わずドライバーが電話に出てくれない、といった細かなロスも削減できた。

 今ではドライバーの平均待機時間は、30分未満が全体の90%を超えており、非常に効率の良い運用が行われている。1日約150台のトラックをたった4つのバースで捌かなければならない当センターにとって、トラックの到着が可視化され、効率の良い呼出ができるようになった影響が大きい。

ドライバーの反対はなかったのか?どうやって定着させたのか?

 「ドライバーのメリット(1階からスマホで受付ができる)をしっかり伝えることができたため、反対するドライバーはいなかった」と語るのはセンター長代理の高松様。

来場するドライバーひとりひとりにモノフルから提供したチラシを配り、トラック簿のアプリの登録をお願いしているとのこと。今ではドライバーの100%がアプリを登録している。シンプルな手法だが、トラック簿の他の導入事例でもこの方法で定着している拠点が多くあるため、説得力のある言葉だった。


※案内に使われているチラシ(右、サンプル)


バース管理がもたらすクボタグループの物流全体最適化

 今回の事例はクボタを支える物流の中の一部の話であり、クボタ本来のビジョンはその先にある。外部倉庫を採用するメリットの裏には課題も存在する。例えば、工場側から各外部倉庫での作業状況やトラックの発着時間が把握できないことだ。全ての外部倉庫のバース管理を行うことができれば、工場側から全外部倉庫でのトラックの動きや作業状況を把握することができるため、部品調達から製品出荷まで全ての業務を可視化し、全体最適に向けた施策につなげることができる。

 2024年を前に、着々とクボタの物流改革が走り始めている。


<インタビュアー>
株式会社モノフル セールスマネージャー 小窪 亘

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